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消防女子奮闘記

更新日:2018年8月28日

 昭和44年のこと。川崎市で女性消防士が誕生してから今年(2018年)で49年。
 年々、少しずつ女性消防士の数は増えているものの、全国の消防本部の消防吏員に占める女性消防士の割合は2.6%(平成29年4月1日現在)と、まだまだ少ないのが現状です。
 二宮町消防本部では、平成26年に初の女性消防士が2名誕生し、平成28年にはさらに1名が採用され、現在3名の女性消防士が消防隊や救急隊に配置されています。

 消防の仕事は、火災や救助、救急等の災害出場時以外では、町民のみなさんとお会いする機会も少ないので、普段は、どのようなことをしているのか、また、どのような仕事があるのかなど、疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

 そこで、この「消防女子奮闘記」では、3名の女性消防士を通して「災害が起きていないときに消防士は何をしているのか」、「消防にはどのような仕事があるのか」などを、毎月テーマごとに全12回の連載でご紹介していきます。

消防吏員・・・消防職員のうち階級を有する者

【第5回】訓練

 消防女子奮闘記第5回は、消防署で行っている「訓練」について、金子が紹介させていただきます。
 消防士たちが出動する災害は「火災」、「救助」、「救急」と主に3つに分けられます。日頃行っている訓練も、この3つに分けて行っています。

火災防ぎょ訓練(消防訓練)

 一言に「火災」と言っても、一般住宅や共同住宅、山林や車両などの種類があります。火災の種類によって、「どのようにホースを延ばすか」、「資機材は何を使うか」など、消火活動は次に起きることや起こる可能性があることを常に考えて活動することが求められます。訓練でも、次の行動をイメージし、持っていく資機材や取るべき行動を隊員間で確認しながら行います。一つの区切りごとに、気付いた点や改善点を話し合い、実災害での不安を取り除けるよう訓練を行っています。

  防火衣着装 訓練中 ホース延長

救助訓練

 救助事案のときは、「救助工作車」という車両で出動します。救助工作車はポンプ車や水槽車のように火災に対応できる積載水やホースは載せずに、100以上の「救助することに特化した」資機材を積載しています。これらの資機材の使い方や、準備から撤収するまでを安全に、正しく、そして素早く行えるよう訓練を積み重ねます。
 三連はしご、カラビナ、ロープといった、救助工作車以外のポンプ車や水槽車にも積載している資機材を組み合わせ、高所や低所から要救助者を救出するシステムを作成する訓練も行います(写真下)。このような訓練では救助システムを作成する手順はもちろん、隊の中での役割分担や連携を確認することも重要な目的です。

  はしごクレーンシステム 訓練中 要救助者救出中

救急訓練

 救急活動で使用する資機材の使い方や手技などを習得する訓練も行いますが、傷病者やその家族への対応の仕方、症状や処置の判断、病院への連絡の取り方を習得するための訓練も行います(写真下)。救急隊は救急分隊長、機関員、隊員の3名で構成されていますが、訓練の中では隊員が隊長役になったりと、実際の救急活動時の役割とは違う役になって訓練を行うことがあります。これは、いつもと異なる役になることで、自分以外の隊員が活動中にどのような動きをしているのか、その役が必要としていることは何なのかを知ることができる訓練になっています。私は救急隊の隊員として救急車に乗ることもありますが、この訓練を行うことで隊長や機関員の次の行動や求めていることが理解できるようになり、活動中の視野が広がったと感じています。

                       傷病者接触 聞き取り中

  それぞれの災害に合わせ、どのような訓練を行っているかがお分かりいただけましたか?実際の災害は、火災・救助・救急の活動が混合しているものもあります。そのような災害に備えて行っている総合的な訓練は、二宮町総合防災訓練や、秋季・春季火災予防運動時の訓練などで皆さんにご覧いただけるよう、「展示訓練」として公開しているものもあります。機会があればぜひ、消防署の訓練をご覧ください。

 次回は「救急隊の機関員」について紹介します。

第4回【救急救命士】

 消防女子奮闘記第4回は「救急救命士」について、救急救命士の伊藤が紹介させていただきます。

 救急救命士は平成3年4月23日に制定された「救急救命士法」ストレッチャー点検により制度化され、それまで心肺停止状態の傷病者や一刻を争う傷病者に対しても行うことができなかった「静脈路確保」や「気管挿管」などの「救急救命処置」を、医師の指示のもと行えるようになりました。救急救命士が行う処置は、医師に引き継ぐまで症状の悪化を防ぎ、時には改善を図るものですので、救急救命士の誕生によりそれまで救うことができなかった命も、救える可能性が高くなりました。
 救急救命士になるには、救急救命士養成所(専門学校・救急資器材点検大学等)で2年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得し受験資格を得るか、消防機関で5年以上または2000時間以上救急業務を経験した後、救急救命士養成所に6か月間入所し、受験資格を得て救急救命士国家試験を受験する主に2つの方法があります。私は高校卒業後、救急救命士の受験資格が得られる専門学校に進学し、救急救命士資格を取得しました。二宮町消防本部には、現在16名(うち女性2名)の救急救命士資格保有者がいます。

訓練血圧測定

 私は平成28年4月に二宮町消防本部に採用され、今年度の4月から学生時代からの目標であった救急隊に配属されました。消防士になる前は病院で看護補助員として働いていましたが、助けを求める傷病者のもとへいち早く向かい、処置を行うことができる救急隊の仕事にやりがいを感じています。私たち救急救命士にとっては何百、何千回のうちの一回の救急事案でも、傷病者にとっては一生に一度の救急要請かもしれません。そのことを常に考え、「傷病者に寄り添い、同じ目線に立って活動すること」を心がけています。特に、女性や子どもに対しては威圧感を与えないよう、安心してもらえるような声かけや処置を心がけています。
 消防士としても、救急救命士としてもまだまだこれから学ぶべきことがたくさんありますが、救急隊員としてはもちろん、救急隊以外でも救急救命士の資格を生かしていけるよう、職務に励んでいきます。

 次回は、消防署で行っている「訓練」について紹介します。

第3回【救助指導会】

 第3回のテーマは「救助指導会」についてです。今回も前回、前々回に引き続き金子が紹介させていただきます。
 みなさんは「救助指導会」をご存じですか?消防士なら知らない人はいない、年に1度の夏の風物詩です。動画共有サイトで「救助指導会」や「救助大会」と検索すると、目まぐるしい速さで訓練を行う消防士の動画がたくさん出てきます。
 「救助指導会」は、消防救助技術の「安全性、確実性、迅速性」を競う消防士の大会です。救助隊員だけでなく、署内選考等を通過した消防隊員や救急隊員、もちろん女性消防士も参加しています。昨年度の神奈川県消防救助技術指導会では陸上の部「ほふく救出」に女性消防士のみで構成されたチームが出場し、話題になりました。

 二宮町消防本部では平成4年から救助指導会に参加しており、ほふく救出では平成28年に全国消防救助技術大会へ出場した、輝かしい成績も残しています。

ほふく救出基本泳法

 

訓練棟

 平成30年6月12日、神奈川県総合防災センターにおいて開催された第43回神奈川県消防救助技術指導会は、神奈川県内各市町消防本部の職員が、日頃鍛えている消防救助技術の成果を発表するとともに、各市町相互間の防災連携意識を高めることを目的に行われました。神奈川県消防救助技術指導会は、消防救助技術関東地区指導会及び全国消防救助技術大会への出場者の選考を兼ねています。 
 今年度、二宮町消防本部では、陸上の部・ほふく救出、水上の部・基本泳法、溺者救助の3つの種目に出場しました。

 私、金子は「溺者救助」の要救助者として今回の指導会に出場しました。「溺者救助」とは、要救助者を含む3人1組で救助者と補助者の2人が協力して浮環にロープを結び付け、補助者が浮環をプール内へ投下して、救助者が25メートル先の要救助者の位置まで浮環を運び、これに要救助者をつかまらせ、補助者がロープをたぐり寄せて救助するまでの安全確実性と所要時間を競う訓練です。
 「要救助者」とは救助を必要とする人のことで、救助指導会の連携訓練における要救助者も、救助者(ここでは消防士のこと)と同じ消防本部の者が務めます。
 私はこの訓練を始めて3年目になりますが、訓練を重ねる中で「チームワークの重要性」を改めて感じるようになりました。消防は日頃の業務もチームワークを必要としますが、指導会で行われる訓練も同じで、どんなに早く泳げる隊員や、力持ちの隊員がいたとしても、連携できなければ個々の力は十分に発揮されません。それぞれの役割を果たすことも大事ですが、それと同時にお互いを知り、補うことがとても大切だと思うようになりました。今年度は良い結果を残すことはできませんでしたが、指導会を通して得たことを、日頃の業務や災害出場時にも生かしていけるようこれからも業務に励んでいきたいと思います。

 次回は「救急救命士」について、救急救命士の伊藤消防士が紹介します。

第2回【消防署の一日】

 第1回に引き続き、金子が紹介させていただきます。
 今回のテーマは「消防署の一日」です。

 二宮町消防署では、24時間365日、火災や救助、救急等の災害がいつ発生しても出動できるよう、3つの警備隊が交替で勤務しています。
 その勤務体制は「交替制勤務」と「毎日勤務」があり、「交替制勤務」は朝の8時30分に前日に勤務していた警備隊から業務を引き継ぎ、翌朝の8時30分に次の警備隊へ業務を引き継ぐまでの24時間が勤務時間になります。
 また、「毎日勤務」は平日の8時30分から17時15分までの日中の勤務で、基本的には土日祝日が休みの勤務体制です。
 今回は、交替制勤務となる消防隊員や救急隊員の一日を紹介します。

8時30分~ 大交替

大交替

 まず、朝の大交替から始まります。
 消防庁舎の車庫前に整列し、前日に勤務していた警備隊から業務を引き継ぎます。
 その後、事務所で警備隊長や機関員、救急隊など、担当者ごとに引き継ぎを行います。
 


 

9時00分~ 車両資機材点検

救急車点検

 引き継ぎが終わった後、最初に行うのが「車両資機材点検」です。
 自分たちが使う機材や車両の装置は自分たちで動かし、自分たちの目で状態を確認します。
 火災や救助、救急事案に出動したときに壊れていたり、決まっている場所に機材が入っていないことがないよう、準備を万全にしておきます。
 

10時00分~ 警防調査・事務処理等

 警防調査といって、町内にある消火栓や防火水槽などの消防水利、町内に設置してある消火器の点検を行います。
 また、火災につながるおそれのある枯草や雑草が生い茂っている土地、土砂崩れが起きそうな箇所の調査や、町内にある防火対象物の検査も行います。
 消防隊は6名、救急隊は3名で構成されますが、点検や調査などで署外に出向くときも、いつ災害が発生しても対応できるように、常に隊単位で行動します。
 点検や調査、検査が終わると、事務処理の時間に報告書を作成します。

12時00分~ 昼休憩

 災害はいつ起きるかわかりません。
 ごはんをはやく食べるのも消防士の仕事です。

13時00分~ 訓練

訓練

 火災防ぎょ訓練や資機材取扱い訓練は消防水利のある場所に出向いて実施し、また消防庁舎を使って行います。
 火災出動の時の装備である防火衣を着て、空気ボンベを背負い、実際に放水する訓練も行いますが、防火衣と空気ボンベを合わせた重さはなんと約15キロ!
 この装備を身に着け、はしごを登ったり、ホースを担いで階段を駆け上がったりします。
 

18時00分~ 夜休憩

 ほっと一息。一当直の折り返し地点です。

19時00分~ ミーティング・救急訓練・事務処理等

ミーティング  ミーティングでは、その日に実施した訓練の振り返りや、業務の進み具合の報告を行い、翌日の隊に引き継ぐための整理もします。
 また、救急訓練では、救急隊と消防隊が連携した救急活動(PA連携)を想定した訓練を行います。
 

 

 

22時00分~ 夜間通信勤務・仮眠時間

トレーニング

 夜間でも、電話や来庁者に対応できるよう、交代で勤務しています。
 仮眠時間は6時間30分ですが、災害指令が入ればすぐに起床し、災害現場に向かいます。
 また、この夜間の時間を利用して筋力トレーニングや資格取得の勉強、業務の知識向上など、それぞれが自己研鑽に励んでいます。
 

6時30分~ 起床・朝ミーティング・車両整備

車両整備 起床後は、庁舎内の清掃を行います。
 朝ミーティングで引き継ぎ事項や次の勤務日の予定を確認し、車両整備では次の警備隊にきれいな状態の車両を引き継げるよう、車両の隅々まで磨きます。
 

 

 

8時30分~大交替

 次の警備隊に業務を引き継ぎ、一当直24時間勤務が終わります。

 

 消防署の一日、いかがでしたか?当直の警備隊は24時間丸々勤務をしているわけではなく、休憩や仮眠時間などを除いた15時間30分が実働の勤務時間です。その時間以外も許可なく外出したりすることはできません。そしてもちろん、災害が起きれば休憩時間や仮眠時間に関係なく出動します。

 次回は「救助指導会」について紹介します。

第1回【機関員】

点検の様子

 第1回は、入庁5年目・二宮生まれ二宮育ちの金子が紹介させていただきます。

 今回のテーマは「機関員」という仕事についてです。
 消防の世界では、消防車や救急車を運転する運転手を「機関員」と呼びます。機関員は、車両の運転をするだけでなく、車両についているポンプやクレーンの装置を操作したり、その装置がきちんと使えるかを点検したりと(写真左)、消防車両に関するさまざまな知識と技術が必要とされます。

 私は、この4月から「機関員心得」になりました。「心得」をわかりやすく言うと「見習い」です。
 日々、隊長や先輩方にご指導いただきながら、走行訓練や揚水訓練、火災防ぎょ訓練などを実施したりと、覚えることはたくさんありますが、とても充実した日々を送っています。

点検の様子2

 機関員の一日は、前日に勤務していた隊からの引継ぎを受けた後、朝の車両資機材点検から始まります。
 今日一日、この町に何もないことを願いながらも、出動要請があった際には素早く出動して的確な任務遂行ができるよう、消防車両に異常がないかを点検するとともに、例えば、火災が発生した場合でも、確実に放水することができるよう資機材の点検や準備、また、自分が使いやすいように資機材を整えたりします。
 火災防ぎょ訓練については、さまざまな想定のもとで訓練を行っています(写真右)。
 そのような訓練を通して感じていることは、消防隊員がどんなに早くホースを延長して放水の準備態勢がとれたとしても、機関員の放水準備が遅ければ意味がありません。
 そのため、どのようにすれば「速く、的確に」放水準備ができるのか。また、指揮者から、火点の状況により放水量や放水圧力をコントロールする指示がその都度ありますが、それに対しても「速く、的確に」対応できるよう、考えながら訓練を行っています。

 「機関員」の仕事は、車両の運転や操作をする重要な役目であると同時に、操作を一つ間違うと、重大な事故につながるおそれがある職務です。
 私の機関員の道はまだ始まったばかりですが、早く「心得」から一人前の機関員となれるよう、日々、訓練に励んでいきたいと思います。

 次回は、「消防署の一日」について紹介します。

お問い合わせ先
消防署〒259-0131 神奈川県中郡二宮町中里711-1
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