○二宮町議会ハラスメント根絶条例
令和6年12月16日条例第29号
二宮町議会ハラスメント根絶条例
ハラスメントは、基本的人権及び個人の尊厳を著しく傷つけ、議会活動に支障を来し、ひいては議会の社会的信用及び信頼を失うことにつながる。科学的知見の積み重ねと人々の訴えを背景に、世界規模で人権と個人を尊重する社会に進みつつある。その一方で、社会全般には相反する動きがあり、さまざまなハラスメントが起こっている状況がある。
議会基本条例の本旨に基づき、町民の負託に応える的確な議会運営を実現するために、議会議員におけるハラスメントを根絶し、事案に対応することができる条例が必要となった。
また、議員から職員に対する不当な圧力があっては、行政運営を阻害することになる。このことは、議会が責任を持って律するべきことである。
議会としての役割を十分発揮するため、互いに人格を尊重し、相互信頼を深めること、ハラスメントのおそれがあった場合の相談・調査体制の確立、防止のための研修などを通して、その根絶に努め、信頼される議会の実現を目指すことを決意し、二宮町議会は、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、二宮町議会議員(以下「議員」という。)間及び二宮町職員(以下「職員」という。)と議員間におけるハラスメントの根絶のために必要な事項を定め、町民から信頼される町議会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「ハラスメント」とは、次に掲げる行為をいう。
(1) 社会的又は性的差別により、相手に精神的又は身体的な苦痛を与える行為
(2) 職務上の地位、役職等の優位性を背景に、適正な職務権限の範囲を超えて、相手に精神的又は身体的な苦痛を与える行為
(3) 性的指向、性自認等の情報について、本人の了解を得ずに暴露することにより、プライバシーを侵害し、相手を傷つける行為
(4) 前各号に掲げるもののほか、個人の人格若しくは尊厳を害し、相手に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、又は個人の職務環境を害する行為
(議員の責務)
第3条 議員は、町政に携わる権能及び責務を自覚するとともに、常に高い倫理観を持ち、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。
2 議員は、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、労働意欲を低下させ、及び勤務環境を害するものであること並びに職員が職務遂行上の対等な立場にあることを自覚し、並びに職員の人格を尊重した活動をしなければならない。
3 議員は、当該議員によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度を持って疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にするよう努めなければならない。
4 議員は、他の議員がハラスメントに当たる行動又は言動を行っていると認められる事態に遭遇したときは、当該議員に対し厳に慎むべき旨を指摘するよう努めなければならない。
(申出)
第4条 議員及び職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、議長、副議長、議会運営委員会委員長、議会基本条例推進委員会委員長又は議会事務局長(以下「申出受付者」という。)に苦情又は相談の申出をすることができる。この場合において、苦情又は相談の申出は、その理由を明らかにした文書をもって行うものとする。
(1) 議員からハラスメントを受けたと思料するとき。
(2) 議員間又は議員から職員へのハラスメントと思料される事案を目撃し、又は把握したとき。
2 前項の規定による申出を受けた申出受付者は、当該申出について議長(議長が当事者の場合にあっては副議長、議長及び副議長が当事者の場合にあっては議会運営委員会委員長、議長、副議長及び議会運営委員会委員長が当事者の場合にあっては議会基本条例推進委員会委員長。次条、第6条第1項及び第6項、第7条並びに第8条において同じ。)に報告するものとする。
(代表者会議)
第5条 議長は、前条第2項の規定による報告を受けたときは、二宮町議会代表者会議(以下「代表者会議」という。)を設置する。
2 代表者会議の組織、運営等について必要な事項は、規程で定める。
3 代表者会議は、当事者に対し事実確認を行うものとする。
4 代表者会議は、前項の規定による事実確認に基づき、調査の要否について、議会全員協議会において協議の上、決定するものとする。
5 代表者会議は、前項の決定をしたときは、議長に対して、当該決定及び第3項の規定により行った事実確認の内容を報告するものとする。
(調査委員会)
第6条 議長は、前条第5項の規定により調査を要すると報告を受けたときは、二宮町議会ハラスメント調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置する。
2 調査委員会は、4人以内で組織する。
3 委員は、次に掲げる者のうちから議長が委嘱する。
(1) 弁護士、司法書士その他のハラスメント事案に関する専門的な知識を有する者 1名以上
(2) 人権についての見識を有する者 1名以上
(3) 議員(議長及び当事者を除く。) 1名
4 調査委員会の組織、運営等について必要な事項は、規程で定める。
5 調査委員会は、ハラスメント事案に関する調査を行うものとする。
6 調査委員会の委員長は、議長に対して前項の規定による調査の結果を報告するものとする。
(ハラスメントの認定等)
第7条 議長は、第5条第5項の規定による事実確認の内容の報告を受けたとき(同条第4項の規定により調査を要しないと決定した場合に限る。)又は前条第6項の規定による調査の結果報告を受けたときは、当該ハラスメント事案に係るハラスメントの認定の適否について、代表者会議において協議の上、決定するものとする。
2 議長は、前項の規定による決定をしたときは、当該決定について、議会全員協議会に報告するものとする。
(公表等)
第8条 議長は、前条第1項の規定によりハラスメントがあったことを認定したとき(以下「ハラスメント認定時」という。)は、当該ハラスメントを行った者に対し是正措置を講じなければならない。
2 議長は、ハラスメント認定時は、速やかに当該ハラスメントを行った者の氏名を公表しなければならない。ただし、議長がその必要がないと認めるときは、この限りでない。
(秘密の保護)
第9条 議員は、議員の活動及び職員の職務遂行を保障する環境を守るため、ハラスメントの申出者その他当該ハラスメント事案の関係者のプライバシーの確保に十分配慮し、当該ハラスメントに関し職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(研修)
第10条 議長は、ハラスメントの防止及び根絶を図るため、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。
(委任)
第11条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、令和7年4月1日から施行する。
(特別職員報酬費用弁償の額並びに支給方法条例の一部改正)
(次のよう略)