令和7年度施政方針
- [更新日:2025年2月27日]
- ID:2806
令和7年度の予算案並びに諸議案のご審議をお願いするにあたり、ここに、町政運営の基本方針とともに概要を申し上げます。
早いもので、3期目の町政をお預かりして2年余りとなり、任期4年の折り返し地点が過ぎました。この間、町政の運営に関しまして、町民の皆さま、議員各位のご理解・ご協力をいただいたことに、この場をお借りし感謝申し上げます。引き続き、急激に変化する社会に対応するために、変革を恐れず、町制施行90周年という節目の年を迎える中、各種施策に取り組んでまいります。
さて、昨年は、1月1日に、石川県能登地方を震源としたマグニチュード7.6、最大震度7の地震により、建物倒壊や火災など、広域的に甚大な被害が発生し、衝撃的な年の始まりとなりました。
また、今年の1月で、阪神・淡路大震災の発生から30年が経過いたしましたが、この間、二宮町でも、学校施設をはじめとした公共施設の耐震化に取り組み、平成28年度から検討を続けていた役場新庁舎の整備についても、昨年12月議会において、建設用地の取得と実施設計・施工に向けた関連予算を可決いただきましたので、町民の皆さまの安全・安心の確保のために令和10年度の移転に向けて着実に進めてまいります。
一方で、昨年の8月下旬には、台風10号が神奈川県西部を中心に記録的な大雨をもたらしました。二宮町でも、30日の早朝6時から7時の1時間で63mmの雨量を記録し、町の中心を流れる葛川が急速かつ大規模に溢水したため、はじめての警戒レベル5、町民の皆さまの安全を守るための緊急安全確保を発令いたしました。改めまして、被害を受けられた皆さまに対しお見舞いを申し上げます。
葛川の整備に関しましては、過去からさまざまな機会を捉えて、神奈川県に対し護岸整備や浚渫などの必要な整備を着実に進めていただくよう要望をさせていただいてまいりましたが、台風10号の被害を受け、改めて1日も早い安全性の確保に向けた整備について、直接、神奈川県知事に速やかに要望をいたしました。神奈川県からは、従来の整備計画を進めるだけでなく、二宮町をはじめ葛川流域の市町と県が一体となって行っていく、流域治水対策の協議について、スピード感をもって取り組むとの力強いお言葉をいただいておりますので、引き続き、今後の気候変動による水害の激甚化に備え、ソフト面・ハード面の双方からの対策を講じてまいります。
また、安全・安心に暮らせるまちづくりの横断的な取組や地区との連携強化、効率的な窓口対応を図るため、町民の皆さまに対して特に直結する、町組織の防災安全課、生活環境課、町民課で編成する町民部を新たに設置して推進いたします。地域づくり、まちづくりには、人口減少対策に対応できる地域コミュニティの活性化が重要であることから各課連携のもと、地域コミュニティの在り方について一緒に考え、地域共生社会の実現を目指してまいります。
さて、現在の国の動向や予算に目を向けますと、米国の通商政策などにより海外経済の減速に懸念があるものの、日本経済は、2024年春闘における賃上げ率が前年を大幅に上回ったことで、今後、実質賃金の回復が期待され、内需を中心とした成長軌道に復すると予測されています。
こうした経済情勢の下、令和6年12月27日に閣議決定された国の令和7年度予算案は、当初予算としては過去最大であり、賃上げと投資が牽引する成長型経済へ移行するための予算としています。
一方で、二宮町におきましては、消防庁舎の大規模改修に加え、役場新庁舎整備や生涯学習センターラディアンのリニューアルなど、将来にわたり町民生活を支え、町の発展に資する重要な大型建設・改修事業に取り組む局面を迎えることから、計画的に積み立ててきた基金や交付税算入率の高い地方債を有効活用した、健全な財政運営と公共投資の両立をこれまで以上に図る必要があります。
今後、役場新庁舎整備による「子育て支援機能の集約」や、ラディアン・図書館のリニューアルによる「みんなの居場所づくり」を進めていく中、令和7年度を「二宮町こどもまんなか元年」と位置付け、すべてのこども・若者の育ちや子育てを地域全体で支える「こどもがまんなか 誰もが輝くやさしいまちづくり」の実現を目指し、未来につなげる大きな一歩として予算案を取りまとめました。
新年度予算5会計の予算総額は、187億2,105万5千円となり、令和6年度と比較して 5.0%の増となりました。このうち一般会計は、100億7,000万円で7.5%の増、特別会計は、70億8,373万9千円で1.8%の増、企業会計は、15億6,731万6千円で4.0%の増となりました。
一般会計 | 10,070,000千円 | +7.5% |
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特別会計 | 7,083,739千円 | +1.8% |
企業会計 | 1,567,316千円 | +4.0% |
合計 | 18,721,055千円 | +5.0% |
国民健康保険特別会計 | 2,857,402千円 | +2.2% |
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後期高齢者医療特別会計 | 1,097,559千円 | +2.3% |
介護保険特別会計 | 3,128,778千円 | +1.3% |
合計 | 7,083,739千円 | +1.8% |
下水道事業会計 | 1,567,316千円 | +4.0% |
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それでは、新年度予算の重点施策・事業について、第6次二宮町総合計画前期基本計画の重点的方針に沿って、ご説明申し上げます。
はじめに、「公共施設の利便性、機能性を高めるまちづくり」です。
これまで長い期間をかけて、町民の皆さまや議会、未来を担うこどもたちからもご意見をいただき、検討を進めてきた役場新庁舎を二宮果樹公園内に建設します。
そのため、昨年12月に二宮町議会において、令和6年度から令和9年度における、用地取得・実施設計・監理・建設等の支出額をあらかじめ定める、債務負担行為を設定する補正予算を可決いただきました。
また、役場新庁舎の建設地である二宮果樹公園の土地取得におきましても二宮町議会の議決を経て、地権者である神奈川県と本契約を締結することができました。
令和7年度には、設計と施工を一括して発注する、デザインビルド方式によるプロポーザルなど建設に向けた実施設計に取り組み、令和10年度の供用開始に向け、確実かつ着実に進めてまいります。
竣工後25年を迎えるラディアン・図書館についても、長寿命化を図るほか「町民が集い・憩う。みんなの居場所となる公園のような施設づくり」に向けて、ラディアンのモールと図書館を仕切るガラスをなくし、こどもたちや大人が自由に過ごせる居場所や交流スペースを創出するなど、大規模改修のための実施設計に取り組み、令和10年度のリニューアルオープンを目指します。
山西プールにつきましては、現在では二宮町内で唯一のプールとなりました。昭和57年の竣工後、大規模な改修を実施していませんでしたが、施設の長寿命化を図るとともに、さまざまな年代の方にも利用しやすいプールとなるよう、2か年をかけて設計に取り組みます。
また、昭和47年に竣工した消防庁舎は、災害対応、消防・救急業務機能を強化するため、令和6年度に大規模改修工事に着手し、令和7年度は新たに訓練棟を建設するほか、1階に設置している指令関係機器、消防デジタル無線関係機器、防災関係機器を2階へ移設するなど、2か年をかけた改修工事が完了いたします。
災害時に地域の拠点となる地域集会施設の耐震性確保も重要です。令和5年度から「百合が丘2丁目会館」、「川匂会館」、「下町会館」、「富士見が丘二丁目会館」、「中里会館」のリニューアルや耐震性の確保を進めており、令和7年度は「中里西会館」の耐震等改修工事を実施いたします。引き続き、すべての地域集会施設の安全性を確保するため、地域との話し合いを進めてまいります。健康寿命を延ばすためには、人とのつながりや運動が大切ですので、フレイル予防としても地域集会施設をご活用いただきたいと思います。
続いて、「子どもの笑顔がかがやく、子育てと教育のまちづくり」です。
はじめに、子育て支援です。
保健センター内に設置した、こども家庭センター「にのはぐ」では、妊娠期から寄り添い子育てをサポートするために、母子健康手帳を交付する際の面談から18歳までの子育て相談を二宮町だからこそできる顔の見える支援として、継続的かつ、一体的に実施しております。
令和7年度は、こどもまんなか元年として、町の組織に「こども・健康部」と「こども支援課」を新たに設置し、こどもの権利の理解促進をはじめとしたこども計画の推進を図るとともに、幼稚園・保育園の巡回相談、就学相談、養育や生活上の相談の充実や、幼・保・小の職員による「こどもをまんなか」にしたネットワークづくりなど、専門家のアドバイスなども踏まえて、教育委員会をはじめとした関係課や関係機関との連携をさらに強化し、困り感を抱えるこどもやその家庭に対して、切れ目のない相談や支援を行ってまいります。
そして、新庁舎南棟には、こども家庭センターと教育委員会を併設することで子育て支援の拠点とし、健診時以外は親子が集える場としても活用できるようにするなど、子育て支援機能の集約を進めてまいります。
出産後は、体調やこころの変化があり、不調をきたしやすい時期でもあります。子育てや家事で忙しいお母さんに対し、ご自身の体に意識を向けるきっかけとしてセルフケア教室を開催し、生活習慣に取り入れてもらえるよう、実践を含めた情報提供を行います。
また、2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠される多胎妊娠は、母体への負担が大きくなり、妊婦健康診査の受診回数が多くなる場合があります。そのため、健診費用の追加補助を実施し、負担が軽減するよう支援を行っていますが、さらに多胎児や小さく生まれた赤ちゃんの子育てで不安を抱えておられる方を対象に、多胎児育児について語り合う場をつくるほか、発育発達の段階にあわせた遊びの紹介、専門職による育児相談を実施することで、不安が少しでも和らぐようにサポートをいたします。
令和6年度は、こどもたちからもご意見をいただき、令和7年度から令和11年度までの5年間を計画期間とした「二宮町こども計画」を策定することができました。この計画の下、こどもたちが生き生きと活動し、こどもたちの意見が尊重されるまちづくりを目指し、令和7年度をこどもまんなか元年として、こどもの権利条例制定に向けて町の関係各課が横断的に連携した取組を推進するとともに、こどもの権利の理解促進に努めてまいります。
また、こども医療費の無償化につきましては、中学校卒業までだったものを令和6年度に18歳到達の年度末までに拡大いたしました。さらに、家庭の経済状況に左右されずに進学ができるよう、神奈川県の補助金を活用し、低所得世帯の中学3年生が学習塾などに通えるよう学習進学支援を行ってまいります。
次に、学校教育関係です。
令和5年度から、町内5校すべての小・中学校が、施設分離型小中一貫教育校「にのみや学園」としてスタートしています。
すべての学校が「認め合い、高め合う、二宮の子」という統一した教育目標の実現に向けて、「にのみや学園プロジェクト」として、行事や部活動見学など、小学校と中学校のつながりを大切にした9年間の学びや育ちを支えています。
グローバル化が急速に進む中、国際共通語としての英語力はこどもたちの可能性を大きく広げる重要な要素であることから、二宮町におきましては英検の検定料を助成するなど英語教育に力を入れています。小中一貫教育の推進により、小学校の教員と中学校の英語科教員がさらに連携することで、小・中学校の学びをつなげ、小学校で身につけた学びが切れ目なく中学校でも生かせる、楽しみながら学べる環境の構築を引き続き進めてまいります。
また、ことばや聞こえなどに不安がある児童を支援する教室として、二宮小学校に「ことばの教室」をすでに設置しておりましたが、さらに令和6年度には集団行動が苦手であったり、自分の気持ちをコントロールすることが難しかったりする児童が、安心して自分らしく学校生活を送ることができるよう、町内3校すべての小学校に個々の特性に応じた指導や支援を行う「まなびの教室」を開設いたしました。利用する児童が増加傾向にあることから、令和7年度は教員の配置や備品などを拡充いたします。
全国的に増加している、不登校児童生徒への対策につきましては、自分のクラスへ入りづらさを感じている児童生徒が、落ち着いた空間の中で自分に合ったペースで学習などができ、ほっと一息できる安らぎの場として、いち早く一色小学校に校内教育支援センター「ほっとルーム」を設置し、令和6年度には町内5校すべての小・中学校に設置を拡充いたしました。学校に行きづらさを感じている児童生徒がほっとルームに通えるようになったり、ほっとルームで気持ちを落ち着かせて教室に戻ることができたり、登校したい気持ちをゆるやかにサポートすることで、実際に効果があらわれています。そのため、多様な教育的ニーズに寄り添い、さらに不登校対策の充実を図るため、各小中学校のほっとルームに1名ずつ常駐できるよう支援教育補助員を増員し、こどもたちが安心して学べる環境づくりの充実を図ります。
また、昨年度に引き続き、3小学校の6年生すべての児童が生涯学習センターラディアンに集まり、中学校への進学に向けて自己理解、他者理解を深めることによる多様性の適切な理解について、グループワークで学ぶ交流会を開催します。
さらに、いのちの安全教育として、こどもたちの大切な心と体を守るため、児童の保護者向けに、ご家庭での性教育の必要性などを理解していただく講座を引き続き開催いたします。
学校給食につきましては、継続して小学生の給食食材費高騰分の補助を実施するとともに、中学生の給食費の完全無償化を実施します。給食で使用する野菜につきましては、引き続き、二宮町内で栽培された無農薬野菜を一部使用いたします。
また、令和2年度の各小中学校の施設点検結果により改修が必要と判定された学校施設について、山西小学校南棟校舎外壁等大規模改修工事、山西小学校北棟校舎外壁補修・屋上防水工事を実施するなど、優先順位の高いものから速やかに改修を進めてまいりました。令和7年度は、二宮西中学校の校舎屋上防水等工事を実施いたします。
このほか、ICT教育として授業などで使用している、小学校1、2年生のタブレットパソコンのリース期間が満了するため、新しい機器に更新をいたします。
通学路については、引き続き、学校や警察との合同点検の結果を基に、グリーンベルトを設置するなど、さらなる安全対策を計画的に進めてまいります。
続いて、「気候変動対策による持続可能なまちづくり」です。
地球規模の環境問題がますます深刻化する中、脱炭素に向けて町民みんなで行動するまちづくりを推進するため、令和6年度には町民が気候変動対策について話し合う「にのみや気候市民会議」を開催し、さまざまな立場の10代から90代までの幅広い年代の方々からの声をまとめた市民提案を提出いただきました。3月29日に開催される町民環境活動団体によるイベントにおきまして、市民提案を参考に策定した「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を公表するとともに、二宮町としてのゼロカーボンシティを表明いたします。令和7年度は、この計画の推進を図るとともに、児童・生徒を主役とした「こども版気候市民会議」を新たに開催するほか、小さなこどもたちにも二宮町の将来を描いてもらい、気候変動対策をみんなで自分事として考えていただくことで、2050年までのカーボンニュートラルの実現を目指します。
次に、安全・安心なまちづくりとしての都市基盤整備についてです。
老朽化などによる町道の舗装補修工事につきましては、路面の点検結果をもとに計画的に補修を行っており、令和7年度は北口通りなどの舗装補修工事を実施いたします。
また、気候変動などにより、自然災害のリスクは高まっています。水害の激甚化・頻発化に備え、葛川流域の市町と神奈川県が協働し、流域全体で行う治水対策、いわゆる「流域治水」をハード・ソフトの両面から計画的に推進いたします。
消防救急関係では、消防用積載車及び第4分団の消防ポンプ自動車を更新するほか、県内外において大規模災害発生時による市町村の区域を越えた広域的な消防応援や航空特別応援時の消防ヘリやドクターヘリの運用における無線運用など、迅速かつ円滑な活動と被害軽減を図るため、神奈川県及び県内23消防本部で運用している、消防救急デジタル共通波無線設備を更新いたします。
続いて、「誰もが自分らしく安全・安心に暮らせるまちづくり」です。
超高齢社会を迎えている中、ひとり暮らしの高齢者や高齢者夫婦のみの世帯などで、支援の必要な方が周囲に気づかれずに地域で孤立しているケースがあります。
そのため、災害時に自力で避難することが困難な避難行動要支援者ごとに、「誰と」「どこに」「どのように」避難するかを定める「個別避難計画」を策定し、災害に備えることが大切です。
令和6年度は、土砂災害特別警戒区域にお住まいの優先度の高いすべての高齢者世帯を訪問し、避難が必要な方の計画を策定した結果、昨年8月の台風10号の大雨時には、実際の避難行動につながるなど、着実な成果が出ています。引き続き、葛川の浸水想定区域などを含め、優先順位の高いハザードエリアの方から順次、町職員が訪問し趣旨をお伝えした上で、地区長、民生委員、ケアマネジャーなどの関係者の協力のもと、さらなる普及に取り組んでまいります。
認知症対策については、早期発見・対応が効果的とされている中、認知症は誰でもかかる可能性のある身近な病気であるという、正しい知識と理解の向上を図るため、認知症講演会やにのにんカフェ、認知症サポーター養成講座を開催するとともに、認知症が疑われる方や認知症の方が適切な医療、介護サービスの提供が受けられるように、関係機関と連携を図り支援を充実いたします。
また、二宮町には高齢者が気軽に参加できる「通いの場」や「ゆめクラブ」、趣味を楽しむサークル活動など、魅力的な活動の場が多くあります。定期的な外出や社会交流は、認知症をはじめとした介護予防やフレイル予防につながるという研究報告がされています。お互いに気にかけ合う町を目指して、こうした活動がもっと広がり、より多くの方が参加できるよう取り組みを進めてまいります。
超高齢社会の進展に伴う高齢者支援や障がい者の社会参加、自立支援など、誰もが住み慣れた地域で安心して生き生きと暮らしていくためには、更なる福祉施策の充実が求められている中、従前より続けてきた一律給付型の制度から、必要な人に必要な支援を届ける施策への転換期を迎えております。そのため、社会の変化に対応した持続可能な施策に向け、令和7年度に研究、検討を進めてまいります。
このほか、国の方針により、加齢や免疫力の低下が発症に関係するとされている帯状疱疹については、65歳になる高齢者などを対象として、令和7年度から高齢者インフルエンザ予防接種などと同様に、接種希望者は接種費用の一部を公費負担で接種することができるようになります。
ごみ出しが困難な高齢者の方などへの支援につきましては、令和7年度におきましても対象者を限定した上で、高齢者などに向けた戸別収集を実施してまいります。
一方で、安全・安心に暮らせるまちづくりには、地域コミュニティの中心的な存在である自治会や町内会活動が重要ですが、近年、生活様式や価値観の多様化により、地域におけるつながりの希薄化が進んでおり、町内各地区で役員の担い手不足、高齢化、固定化が深刻な問題となっています。そのため、20地区の地区長からなる地区長連絡協議会において、各地区の状況や課題を共有し課題解決策を検討するほか、地区役員業務マニュアルを作成し、地域で活用していただくことで、地区役員の負担軽減をはかり、地域コミュニティ活動が持続可能となるよう取り組んでまいります。
次に女性支援についてです。新型コロナウイルス感染症がもたらした経済や生活への影響で、生活困窮、性暴力、家庭関係破綻などの課題が顕在化し、「孤独・孤立対策」といった視点も含め、新たな女性支援強化が喫緊の課題であったことから、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が令和6年4月1日から施行されました。
女性が日常生活または、社会生活を営むにあたり女性であることにより、さまざまな問題に直面することが多いことから、女性が安心して、かつ、自立して暮らせるよう町の相談窓口を分かりやすくするほか、神奈川県平塚保健福祉事務所や関係機関とのさらなる連携により支援強化を図ります。
また、安全・安心に暮らせるまちづくりの一つとして、外出するための交通手段の確保も重要な課題です。地域公共交通につきましては、人口減少や自家用車への高い依存などを背景に民間路線バスの利用者の減少、運転手不足が課題となっており、今後さらに減便が見込まれるほか、路線の廃止も懸念しているところです。そのため、地域公共交通の利用促進をはじめ、誰もが移動手段を確保できるよう、役場庁舎の移転に合わせて二宮町コミュニティバスのルートやダイヤの再編について検討してまいります。
個人所有の「老朽化したブロック塀の撤去工事費補助」や「木造住宅の耐震診断及び改修工事費の補助」につきましては、引き続き、安全に生活できるまちづくりとして推進してまいります。
このほか、災害発生時における避難所の生活環境整備として、多目的簡易ベッドや屋外用テントのほか、給水車から給水される飲料水を貯蔵する組立式タンクを購入いたしますので、各地区での自主防災訓練などで体験いただきたいと考えております。
生活環境に深刻な影響を及ぼす可能性がある空き家についても、「リフォーム補助」のほか、「解体工事費の補助」の実施、その後のフォローアップも含めた「空き家相談会」を開催いたします。二宮町では、平成29年度から7年以上にわたり、転入者が転出者を上回る社会増の傾向にありますので、子育て世帯の転入促進の取組といたしましても、関係団体などと連携して継続的に流通・利活用を促進してまいります。
続いて、「活力があふれる、選ばれるまちづくり」です。
地域経済の発展には、町の特徴や資源を活用した創意工夫によるビジネスモデルの構築や農地の有効活用を支援し、観光とも連携した活性化を進めていくことが必要です。
二宮町観光協会は、町の観光事業をより一層推進していくための組織力強化に向けた、法人化の検討を行ってまいりました。令和7年度には、現在の任意団体から一般社団法人となる計画で進んでおり、法人格を取得することで権利義務の主体が代表者から団体になり、社会的信用が向上するなど、自主性を持った新たな事業展開が行えるようになります。観光をきっかけとした地域活性化「観光まちづくり」を推進し、行ってみたい、住んでみたい、住み続けたいと思っていただける持続可能な観光振興に取り組んでまいります。
次に、二宮らしい産業を振興するため、特産物としての普及に取り組んできた落花生とオリーブについては、今後も普及奨励にかかる補助を継続するほか、「湘南オリーブオイル」が地域団体商標に登録されましたので、さらなる湘南オリーブオイルのブランドイメージと認知度の向上に取り組み、併せて二宮町のPRも行ってまいります。
また、有害鳥獣による農業被害に対しては、引き続き、農業者への防除資材などの購入補助を行うとともに、有害鳥獣対策協議会の活動によるイノシシなどの個体数の減少や、集落環境整備のための広域被害防止柵の設置に努めるとともに、近年、増加しているイノシシの住宅地への出没をはじめとした生活被害に対しても、山林や農地に隣接している住宅敷地内への侵入を抑止するため、地域が自ら設置する防除柵の購入費補助を行います。
このほか、農業生産基盤の整備として、中里地内の農道の拡幅及び修繕工事に着手することで、生産性の向上、経営の安定化、農地の遊休化防止などに対する取り組みを進めてまいります。
最後に、「新しい時代に向けて、しなやかに対応するまちづくり」です。
第6次二宮町総合計画は、令和5年度からの10年間における新しいまちづくりの指針として、「豊かな自然と心を育み、人から人へつなぐ笑顔の未来」という将来像を掲げ、人口減少や人口構造の変化など、時代の変化に的確に対応した持続可能なまちづくりを行うための計画として策定いたしました。
計画に基づき、行政評価システムを活用した事業の適正化と、効率的な行政運営などにより施策を推進するとともに、行政改革推進計画に基づく、健全な財政運営と業務の効率化を推進しており、人口減少・少子高齢化の継続的な進行と、常に変化する社会情勢に適切に対応をしながら、持続可能な行財政運営を構築するため、「組織力の強化」と「財政基盤の強化」、「多様な主体との連携の強化」を3本柱に改革を進めてまいります。
また、自治体デジタル・トランスフォーメーションにつきましては、二宮町デジタル化推進計画に基づき「いつでも、どこでも、誰もが」デジタル技術を使い行政サービスを手軽に利用することができるように取り組むとともに、事務の効率化を図っています。
令和6年度は、町公式LINEを開設し、各種講座や健診、福祉サービスの申込、町内小・中学校とも連携することで保護者が学校に欠席連絡を行えるようになったほか、役場庁舎窓口で住民票の写しなどの各種証明書発行の手数料をクレジットカードや電子マネーでも支払いができるように、キャッシュレス決済を導入いたしました。令和7年度におきましては、年度中に町立百合が丘保育園の欠席連絡を行えるようにするほか、町に対するご意見をLINEで気軽に投稿していただき、町政運営の参考にさせていただくなど、段階的に機能の拡大を図ってまいります。
町民の皆さま、お一人お一人のライフスタイルに応じた情報発信につきましては、行政サービスやイベント、手続きのご案内、災害情報などを迅速かつ的確にお届けするため、LINEをはじめとしたさまざまな媒体を活用するほか、ワンクリックで広報にのみやをご覧いただき、知りたい情報にスムーズにアクセスできるよう情報発信力を強化いたします。
デジタル技術を活用した業務の効率化といたしまして、AIを用いて生成される情報を活用した文書の作成や議事録の要約など事務の効率化を図り、複雑かつ重要な業務への対応時間を確保いたします。
そのほか、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律の施行に伴い、国や自治体ごとに個別に管理・運用してきた業務システムを政府共通のクラウド基盤である、ガバメントクラウドに移行いたします。標準準拠システムに移行することで、デジタル化、効率化、コスト削減を図るとともに、より幅広い世代に必要なサービスが提供できるよう、さまざまな手続きのオンライン化など、デジタルを活用した利便性の向上にさらに取り組んでまいります。
また、役場新庁舎への移転に向け、令和7年度は各部署における行政文書の保存状況を調査し、文書を削減するとともに令和8年度以降の文書管理システムの導入に向けて、行政文書の管理体制を見直し、決裁や文書管理を電子化することで、新たに発生する紙書類の削減、情報公開への迅速な対応など業務の効率化を図ってまいります。
令和7年度には、町制施行90周年を迎えます。新しい時代に向けた記念事業を開催するために、現在、実行委員会を立ち上げて準備を進めています。町制施行90周年を迎える11月3日には、記念式典を開催するほか、町内各種団体との協働により、「こどもの権利フォーラム」を中心としたこどもまんなかイベント、神輿パレード、花火大会、映画の上映などが提案されています。
二宮町の発展に寄与されたすべての方に敬意と感謝の意を表し、町の魅力について再認識し、未来の二宮町について考える機会となるよう実施いたします。
続いて、特別会計についてです。
はじめに、国民健康保険特別会計です。平成30年度から、制度改正により県が町とともに国民健康保険の保険者となり運営を行っていますが、被保険者数の減少、医療の高度化などに伴い厳しい会計運営が続いている状況です。
今後も、国民健康保険の安定した会計運営や国民健康保険事業の広域的かつ効率的な運営を図ってまいります。
また、二宮町国民健康保険データヘルス計画及び特定健康診査等実施計画に基づき、特定健診の結果やレセプトデータなどの健康・医療データを活用して、被保険者の健康状態や疾患構成、医療費の現状を把握し、健康課題に対して効果的かつ効率的な保健事業を実施してまいります。
さらに、特定健康診査につきましては、令和6年度よりAIを活用して、対象者それぞれの「気づき」を促す取組を行ったことで、受診率が向上しています。いつ、誰に、どのように受診を勧奨すべきかを分析し、対象者の健康意識などに合わせたメッセージを送ることで、引き続き受診率向上に取り組んでまいります。
後期高齢者医療特別会計については、後期高齢者の増加に伴う医療費の増加に対し、引き続き広域連合と連携し、健全な制度運営に努めてまいります。
介護保険特別会計については、超高齢社会における75歳以上の後期高齢者の増加に伴い、ますます介護サービスや高齢者福祉への需要が高まると考えています。
社会環境の変化などにより高齢者福祉を取り巻く状況が変化している中、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく安心していつまでも暮らし続けられるよう、高齢者や介護保険事業について取り組むべき施策や目標を定める「高齢者保健福祉計画」と「介護保険事業計画」を推進するとともに、令和7年度から令和8年度の2か年をかけて、両計画を一体的な計画として新たに策定をいたします。
続いて、企業会計についてです。
下水道事業会計については、予定されている整備が順調に推進され、概ね9割程度の整備が完了しています。
一方で、今後、施設の老朽化が進み、計画的な点検・改築・修繕が必要になることから、引き続き接続率の向上及び経費の削減に努めてまいります。
豪雨時に冠水することがある二宮小学校下の一級町道10号線につきましては、抜本的な雨水対策をはじめるための汚水管切り回し工事に続き、水道管の切り回し工事を実施いたします。
また、豪雨時の避難場所の確認や避難ルートの検討などに活用していただくため、雨水出水浸水想定区域図をもとに、想定最大降雨時の浸水区域、深さを示した内水ハザードマップを作成し全世帯へ配布いたします。
さらに、集中豪雨による河川からの溢水時の被害軽減を図るため、自助対策として雨水止水板の設置に対して補助を実施いたします。
このほか、水道料金の値上げや料金体系の変更による高騰に対し、各家庭の雨水貯留槽の設置に対して補助を実施いたします。雨水を生活用水として利用することで、上下水道料金の軽減が図れるほか、降雨時に一時的に溜めることで河川への流出を抑制する効果も期待できます。
下水道経営が将来にわたり持続可能なものとなるよう、引き続き地方公営企業法に基づく公営企業会計制度を適用し、安定した経営に取り組んでまいります。
最後になりますが、物価の高騰や人手不足による社会経済情勢のほか、頻発する自然災害など、暮らしや経済を取り巻く環境はめまぐるしく変化しており、かつ、課題や問題は多様化、複雑化しています。そのため、重点施策の確実な実施と町民の皆さまにとって効果的で効率的な組織体制となるよう役場組織の改編を行うとともに、職員一人一人の可能性と長所を最大限に発揮できる環境を併せて整えてまいります。
こどもから高齢者まで、町民のすべての皆さまが安心して自分らしく暮らすことができるよう、まちづくりの主役である町民の皆さまの参加を積極的に受け止め、将来を見据えた上で変革を恐れず、全力を尽くして町制施行90周年を迎える町政運営に取り組んでまいります。
引き続き、議員各位、そして町民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針とさせていただきます。
よろしくご審議の上、ご賛同を賜りたくお願い申し上げます。

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