林ノ台遺跡
- [更新日:2022年11月7日]
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このページでは林ノ台(はやしのだい)遺跡についてご紹介します。林ノ台遺跡は二宮町一色字林ノ台にあり、隣接する足柄上郡中井町との町界に近い大磯丘陵内の標高120メートルから140メートルの丘陵尾根部に立地しています。昭和60年(1985年)、二宮町教育委員会では、本遺跡の具体相を正確に把握することを目的として発掘調査を実施しました。その結果は杉山博久他 1989『林ノ台遺跡(図録篇)』小田原考古学研究会にまとめられています。
林ノ台遺跡から出土した遺物は、土器と石器が主です。土器は器形の復元が困難なほどに割れた小破片ばかりでしたが、その大半が縄文文化早期に属するものでした。土器の文様は、貝殻をこすりつけたもの、撚り糸を押し付けたもの、葉を押し付けたものなどが見られ、中には土に繊維を含む無紋土器も見られました。石器は石斧・石鏃・石皿・磨石などが採集されています。
遺構はミカンの木が植えられている関係で、整然とした形では検出されませんでしたが、住居址状の落ち込みと土壙の各一基が検出されました。林ノ台遺跡の周辺には同時期の縄文文化期の遺跡(一色字西峰、一色字鬼沢、一色字西谷戸、一色字向根、一色字西谷戸上)の存在が確認されています。一色字向根の遺跡からは古式土師器(こしきはじき)を含む土師器も散在していることから、今から1万3千年前~1万年前の時代に、広範囲にわたって集落が形成されていたことが推測されます。
ナンバー1 土器(一部復元)
縄文時代早期の土器です。上部のみ復元されています。ふるさとの家に展示されています。
ナンバー2 石皿と丸石
中央がくぼんでいるのが石皿(いしざら)です。こぶし大の石(磨石)と組み合わせて、穀物などをすりつぶすのに使用しました。
ナンバー3 石皿
ざらざらした目の粗い楕円形の石です。大きさは15センチ×20センチほどあります。石の中央にはくぼみがあります。
ナンバー4 丸石(磨石)
握りやすいこぶし大の石です。赤、茶、水色など石の色に違いがあります。家族で歯ブラシの色を違えるように、使う人によって石の色を区別していたのでしょうか。
ナンバー5 石斧1
楕円形の石の一方が削られ、先が鋭くとがっています。石に厚みがありませんので、包丁のように使って動物の皮を剥いだり、肉を刻んだりしたのかもしれません。
ナンバー6 石斧2
長さは20センチほどあります。ゴツゴツした赤色の石です。石の左右が細くなっています。
ナンバー7 石斧3
左側が大きく欠けてしまっています。ツルハシのようないかり形をしています。かなりの重さです。
ナンバー8 石斧4
両方とも同じくらいの大きさの石斧(いしおの)ですが、石の質が全く異なっています。奥の石はザラザラ、手前の石はスベスベしています。
ナンバー9 石斧5
左右の端が欠けてしまっています。石の表面が磨かれてスベスベしており、湾曲しているという特長があります。石斧ではない別の用途があったのかもしれません。
ナンバー10 石斧6
上部が欠けてしまっています。もともとは円柱形をしていたと思われます。コップの底のように底面が平らになっています。
林ノ台遺跡
所在地
一色字林ノ台
遺跡種別
集落址・遺物散布地・墓坑
時代
縄文早期~中期
概要
1984年、遺跡確認のための学術調査で、縄文時代早期の竪穴状遺構、中期初頭の墓坑を検出。
その後、1985年2月~3月まで発掘調査が行われる。
また、1994年、自動車電話無線基地局建設に伴う発掘調査では縄文時代早期の土器・石器が出土。
文献
- 杉山博久他 1989『林ノ台遺跡(図録篇)』小田原考古学研究会
お問い合わせ
二宮町教育委員会教育部生涯学習課生涯学習班
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